南埼玉どうぶつ病院


● 第二回 ●
「うちの子は背骨が触れるからやせているわよ?」
近年、メタボリックなペットが激増しています。
不要な病気にならないためにも、適正な体型を保つようにしましょう。

ねーねー、姫ちゃん
今年も相変わらずふっくらであたたかそうだねっ
あけましておめでとうだネー!
 
またそれ!?

そして新年の挨拶がこれなのっ!?

相変わらず暑苦しいのね。
ひっかくわよ。
ところで

姫ちゃんはふっくらしているのはわかるけど
いったいどの程度ふっくらなのか、

世間からみてどうなのー?
世間からみて?

きゃっ、客観的に見て、
わ、私は普通の体型よ!
ふーん、

そのおなかのたぷたぷ脂肪は
なんですかー?
こ、これ・・・?

・・・
そう、これは冬服よ!
私の冬服はこれなのよっ!
 
じゃー、
姫ちゃんは一年中
あったかいダウンを着ているんだー?

暑苦しいなら脱いでいいんだよー!
・・・
わかってて言ってるのね?

帰っていいかしらっ!!
うそうそー

帰らないでー!

今日のおやつのミルククッキーあげるよー!
ふんっ!
もらってあげるわ!

それでいいのよ!

モグモグ・・・
って、こら!いらないわよっ!
 
えーっと、それじゃ
残りのクッキーは回収いたしますー。

姫ちゃん残念ねー!
フフフー
 
クッ・・
っふんっ!
別に私はダイエットのために
我慢しているんじゃないんだからねっ!

すばらしい体型で、
ダイエットの必要なんてないんだから!
ところで体型の話だったわね。
ボディーコンディションスコア(BCS)といって、
体型の標準っていうものがあるのよ。

なぜかそう言う飼い主さんがいるけれど、
背骨が「触れる/触れない」は関係ないのよ。
ふんふん、
これを見るとー 姫ちゃんはー

肋骨は、厚い脂肪に覆われてるー。
骨格は、厚く弾力のある脂肪に覆われているー。
体型は、非常に厚い脂肪に覆われて、
     腰にくびれは・・・無いねー。
むむー・・・?

姫ちゃんのBCSはー・・・?

「じーーー」
なによ!

(教えなければ良かったわっ!!)
僕は
@肋骨まわりが薄い脂肪に覆われて、
ゴリゴリしなくても触ることができるネー
A腰もくびれがあるネー
B横から見ても、お腹のへこみはあるもんネー
BCS3だねー!
肥満の原因で代表的なものは、
・ 加齢
・ 避妊や去勢手術で太ってしまう
・ ゴハンのあげすぎ
・ ホルモン病などの代謝異常になる病気
・ 体質(遺伝)
避妊や去勢は、
ホルモンが低下することで、
活動性や代謝が落ちてしまうのよ。
更に生殖器に回すエネルギーも減る(約30%)から、
やっぱり太りやすくなるわよね。

食べすぎは論外ね。
確かにぼくは去勢手術してないねー!
運動もきちんとしているよー!

鼻水も飛ばしているよーっ!
ふんふんっ!
ちょっと汚いわね!鼻水はいらないわよっ!

代表的なホルモン病はこの2つくらいかしらね。
・甲状腺機能低下症
  ・・・脂肪の代謝が低下してしまう
・副腎皮質機能亢進症
  ・・・食欲が増す上に、脂肪が多くついてしまう
なかなかダイエットが成功しなかったら、

病気も疑わなきゃだめだねー!
 
遺伝は動物では証明されていないけれども、
たぶんヒトと一緒で関係あるんじゃないかと
いわれているのよ。

ちなみに、
肥満の原因も重要だけれども、
肥満で引き起こされる病気もあるのよ。
なになにー?

それじゃー
姫ちゃん 大変だねー!
いちいち うるさいわねー。
ひっかくわよっ?
ごめんなさいぃー!
肥満だとなる病気はいっぱいあるんだけれど、
代表例が
・ 糖尿病
・ 気管虚脱
・ 熱中症
・ 麻酔リスクの増加
・ 関節疾患や椎間板ヘルニア
おデブさんで
リスクのある病気っていっぱいあるねー。

ダイエットはどうしたらいいのかなー
食事内容の見直しや変更と減量、適切な運動。
これは獣医さんと相談だね。

それと血液検査や超音波検査で
ホルモン病が疑わしくないか
チェックすることも必要ね。
へぇー、へぇー!

適切ね!

なんでもホドホドがいいですネー
病気といっていいレベルの肥満治療には、
肥満の薬を使うこともあるんだけれども、
扱っていない動物病院も多いわよ。

ん?なにこっちを「じー」ってみてるのよ!
鼻水が飛ぶから近寄らないでちょうだい。
えー

だって姫ちゃん、
病院いかなくていいのー?

って・・・爪出して何構えてるのーー!
ムキーー!

ひっかいてやるわ !!
いいかげんにしなさいーー!
うわ〜〜!っと。
というわけで逃げますー!

みんな、適切な体重をキープしようネー。
シャーーッ!

次をお楽しみに。