南埼玉どうぶつ病院


● 第四回 ●
「避妊と去勢について」
避妊(不妊)や去勢は、メリットとデメリットがあります。
特に避妊手術はメリットが多い手術ですが、やはりデメリットもあります。
よくかかりつけの先生と相談してから行って下さい。
「なんとなく手術する」のは避けましょう。

ねーねー、姫ちゃんー
みんな去勢手術や避妊手術をする子が多いけれど、
やらなければならないものなのー?

僕去勢手術をやってないんだよねー。

私は小さい頃に既に避妊手術をしているのよ。

最近はね、
「なんとなく」避妊や去勢をする人が多いから
きちんと知った上で手術を決めて欲しいわね。

フンフンッ!

僕はなんとなくやってないのかな?
今度飼い主に鼻水をひっかけながら聞いてみよー。

飼い主さんかわいそうだけど
私に鼻水がかからないからいいわ。
避妊手術と去勢手術の主な目的は
・ 妊娠して子供ができないようにしたい
・ 発情が来てストレスになるのをやめたい
・ 性ホルモン関連の病気を防ぎたい
といった感じよ。 

よく知られている話だね。
いまさら何を!?っていう人もおおいと思うんだよねー。
でもね、デメリットの事を考えないで
手術する人が多いのよ。
デメリット?
なにがあるのか教えて欲しいねー!

フンフンー!
あのね!銀次さん
勉強熱心なのはいいけれど
いちいち鼻水を飛ばさなくてもいいのよ!

メリットはよく知られているから、
デメリットを今回はたくさん話すことになりそうね。
主なデメリットとしては
・麻酔のリスク
・手術後の合併症
・尿道が狭くなる(雄猫)
・肥満
・老齢での尿失禁
と、いった感じかしら?
麻酔のリスクってどんなものがあるのー?
全身麻酔というのは、
健康な子に麻酔をしても
まれに死んでしまう可能性がある処置なのよ。

でも、その可能性は非常に低いわよ。
ほとんどの子は麻酔をかけて大丈夫なのよ。
でも、生まれつき異常がある子もいるから、
そういった子は麻酔が非常に危険になりやすいのよ。
一見なんとも無い子でもきちんと術前検査をして、
そういった異常が無いかを調べたほうが無難ね。

人間だったら、血液検査や尿検査、レントゲンなどを行わないで全身麻酔をかけるってことはまずしないわよね。
だから、手術前って血液検査をするんだ。
おしっこ検査も必要だって知らなかった。

僕はおしっこと鼻水はいつでも出せるから
心配ないねー!
わけ分からないことは言わないでちょうだい。
生まれつきの代表的な異常としては、
・ 心臓病
・ 肝臓の血管が異常で
・ 頭の中の異常
・ 血が止まらない病気
があるわね。
心臓病や頭の病気は血液検査ではわからないから、
出来たら疑わしい子の場合は、心臓の超音波検査や脳の超音波検査はやってから麻酔をかけたほうが無難ね

鼻水は検査の必要がないけれども、おしっこ検査は血液検査でわからない腎臓の異常を発見するのに重要ね。
検査してもわからない病気もあるから注意が必要ね。
鼻水では病気はわからないのですねー!

手術の合併症って
何があるのー?

手術で起こる合併症には、
・ 卵巣の取り残し(また発情が起こります)
・ 出血(発情時期や肥満で起こりやすくなります)
・ 尿管を縛ってしまう(おしっこが出なくなります)
・ 縫合糸肉芽腫(糸に反応してしこりができます)
・ 子宮断端腫(主に卵巣の取り残しで起こるしこりです)

結構あるのねー!

でも
手術で取り残しは起こらないようにしてほしいねー!
手術で取り残しを避けるためには、
色々なポイントがあるのだけれども、
手術のやりかたにもよるのよ。

かかりつけの先生とよく相談が必要ね。
姫ちゃんのお得意なー

肥満はどうして起こるのー?
むむっ!
私がどうして肥満が得意なのかしらっ!
手術をすると、
必要エネルギーが30%減るといわれているわ。
理由はいろいろと言われているけれども、
生殖器がなくなったことで必要エネルギーが減った事や、ホルモンの低下により脂肪の代謝が落ちるためと言われているわ。
だから、私のこの"ふくよか"なお肉は
私が悪いわけではないのよ!

避妊手術した獣医さんの責任なのよ!
えーとー?
でも、必要エネルギーが30%減るということはー

食べる量も減らさなければならないんじゃないのー?
いつももぐもぐ食べているようなきがするけどなー?
じーーっ・・・

今日のおやつもカロリーが高いものかもしれないねー
なにこっちをみているのよっ!

わかったわよ、
今日のティータイムのおやつは銀次さんにあげるわよ!
(ダイエットのために我慢しなくてはならないわねいずれ見返してやるわ!)
今日のおやつは何ですかねー!
うれしいネー!
(なんとなく、銀次さんにハメられた気がするわ・・・?)

でもね、決して避妊や去勢手術が悪いわけではないのよ
メリットのほうが多いから、
よーくかかりつけの獣医さんと相談することね。
みんなも手術して太らないように、
注意が必要ですよー!
今日のおやつあげるのは、
やっぱり やーめーよーうーかしらっ?
えっ?えぇ〜〜!?

姫ちゃん、スリムですねー!
みんなもそういってあげてくださいー!

※ ちなみに当院では、女の子の場合は六ヶ月齢まででの手術をすすめています。詳しい事はお問い合わせください。また、卵巣を摘出したあとは必ず卵巣が取りきれているかをチェックしています。

次をお楽しみに。