南埼玉どうぶつ病院


● 第六回 ●
「犬と猫の血液型と血について」
犬も猫も血液型ってあります。
ですから、輸血するときは慎重に行わないといけません。
適当に輸血すると、
効果が無いばかりか、下手したら死んでしまいます。

ねーねー、姫ちゃんー

僕、素朴な疑問があるんですよねー

いったいなんなのよ。
鼻水たらしながら近づいてこないでちょうだいっ!

もし病気で、
この鼻水が鼻血になったら

どうしたらいいんですかねー

血が足りなくなったら
血を補給すればいいのよ。

まー、あなたに一番足りないものは、
脳みそと、鼻水をたらさない鼻くらいかしらねっ

そうですか、

姫ちゃんから血をもらえばいいんですかねー?

おなかが減ってきたら、
おなかの脂肪もいただけますかねー?
おなかの脂肪!?
このスリムな体のどこに脂肪があるのよ!

犬と猫は輸血できないのよ。
ついでにいうと、あなたの血には鼻水が大量に含まれてそうだから、
誰もあなたの血なんてほしくないわよっ
僕の鼻水は僕のものなんですねー

誰にもあげたくないんですよねー

おなじように姫ちゃんも
おなかの"たぷたぷ"は誰にもあげたくないんですねー
銀次さん
このおなかは"たぷたぷ"に見えるだけで、
本当はやせているのよっ!
気のせいに決まってるでしょ!

あとあなたの鼻水なんて誰もいらないわよっ!
とりあえずね、
私達の体に流れる血液も、
血液型っていうのがあるのよ。

だから、犬から犬、
猫から猫って輸血するときでも、
注意が必要よ。
ふんふん、

それじゃー
みんな輸血するときは、
血液型を調べるんですかねー?
さりげなく鼻水を飛ばさないで頂戴。

血液型を調べるのがベストだけれども、
血液型を調べる外注検査も院内キットも高いのよ。

たぶん、場合によっては外注検査は数千円するんじゃないかしら。
だから、血液型を調べずに、

輸血する側とされる側の血液を混ぜて、
変な反応をしないかだけ調べてから
輸血することがほとんどよ。
変な反応ってなんですかねー?

そして、
鼻水にはそういう型が無いんですかねー?

ふんふ〜〜んっ!
わけ分からないことは言わないでちょうだい。
型が合わない不適合輸血の場合は、
 ・ 手の血液を破壊してしまう(溶血)
 ・ 嘔吐
 ・ 振え
 ・ 蕁麻疹
 ・ 発熱 など
簡単にいうと、
血液中に入ってきた相手の血液に対して
異物反応を起こしてしまうから
いわゆるアレルギー症状とかが出たりするのよ
そのほか細かい症状はあるんだけれども、
主なものはこれね。
自分の鼻の中に
変な人の鼻水が入ってきたら、
それは嫌ですねー

血液だってみんな、
そう思ってるに違いありませんねー

犬の血液型は
「犬赤血球抗原」という抗原(DEA)で分類されて、
9種類以上あるといわれているのよ。

そして猫の血液型は、
A型、B型、AB型の3種類といわれているわ。

犬の血液型って9種類もあるんですねー!

調べがいがありそうですねー。
犬の血液型で通常調べられるのは、
もっとも問題になる
「DEA1.1」という犬赤血球抗原だけなのよ。

DEA1.1という抗原を持つ血液を輸血すると、
1回目は何もおこらない事が殆どだけれども、
2回目以降に不適合輸血となる可能性が高いわ。
輸血の副作用は、
2回目に起こるのですねー

でも、1回目でも起こる可能性があるって事ですよねー
やっぱりきちっと検査してから輸血するべきですねー
そうなの、

胎児の血液型がDEA1.1で、
母親がいつか輸血されたり、
母親の血液を輸血したりすることでおきたりすることもあるのよ。
でもね、
猫の輸血はそれよりもシビアなのよ
B型の猫にB型以外の血液を輸血すると

急激に不適合輸血の反応が出てきてしまうのよ。

しかも犬と違って初回にね。
それでA型の猫にB型の血液を輸血すると、
同じように不適合輸血の反応がおきるんだけれども、
B型の猫と違って、反応が急激ではないことが多いから、
急におかしくなるって言うことはなさそうよ

あと、8割近くの猫はA型だから、B型であるかどうかを
血液型診断で知っておくだけでもいいかもしれないわね。
えーとー?
AだかBだかDEAだかって
非常にわかりにくいのですがねー?
ほんと、物覚えの悪い銀次さんねぇ

とにかくね、輸血するには、
自分と相手の血液を混ぜても反応が無いかをチェックする必要があるのと、
血液型も重要だってことよ。
あとは、輸血しなくていいように、

鼻水が鼻血に変わったら
すぐ病院にいかなくてはなりませんね!
そうそう、
何か変だなと思ったら、
様子をみないですぐに病院へいくことが重要よ!
みんなも輸血するときと鼻水をあげる時は、

検査が必要だから気をつけてねー
だから、鼻水はいらないのよーっ!

まったくもう!

いい加減にしなさいっ!
そ、そんなぁー

ひどいですねー

※ ちなみに当院では血液型検査キットは使用期限が切れてしまうため、血液型の判定は検査センターへの外注検査になります。基本的には、適合試験のみを行ってから輸血を行います。

次をお楽しみに。