■ 胸腺腫 ■

■ 胸腺腫

 胸部・つまり心臓や肺などが入っている空間にも腫瘍は発生します。胸腺腫は、心臓の隣にある胸腺が腫瘍化したものです。 胸腺腫の特徴として、すごい巨大化して、心臓より大きな腫瘍となりますが、手術が可能なケースがほとんどを占めている点です。
 胸のほとんどを占めてしまうために、呼吸をしにくくなってしまうことで飼い主さんが気が付きます。
 レントゲンを撮影すると、左の写真のように本来肺で黒く映るはずの心臓より左側の空間が、胸腺腫が発生することで白くなります。
 症状が出る頃には心臓よりはるかに巨大化(心臓の数倍大きくなります)して、心臓や肺を右側に圧迫するために空気を吸う空間が狭くなっています。

■ 検査

 胸部に腫瘍があるかどうか自体はレントゲンで判断ができますが、最も重要な検査がエコー検査と並行して行う細胞診です。 同じような部位に他のがんが発生するケースもあるために、エコー検査を行いながら針を刺して細胞検査を行い、胸腺腫かどうかを判断することが重要になります。 。細胞検査で判断が難しい場合は沈静下で太目の針を用いて組織を採取する必要があります。

 右下で動いているのが心臓です。それ以外に白くボコボコしている部分が胸腺腫です。この動画を見てわかる通り、胸腺腫はほかの腫瘍と違い心臓の数倍にまで大きくなるケースが多いです。

■ 治療

 胸腺腫は癒着がなければ手術で取りきることで完治します。抗がん剤が効かなくもないですが、ほぼ効果が期待できないために 最終的には手術での治療になります。 大きな血管を巻き込むケースは少なく、細かい腫瘍血管をきちんと処理して切除を行うことで手術は可能ですが、胸部外科は麻酔管理が重要なために、麻酔を慎重に行う必要があります。
 腫瘍の切除は基本的には胸の中心から開ける、胸骨切開というものが必要になってきます。痛みが激しいといわれていますが、しっかりと痛みの管理をしてあげることで術後のストレスを軽減できます。

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