乳腺腫瘍
乳腺にできる腫瘍乳腺にできる腫瘍の代表例が乳腺腫瘍です。
乳腺にはまれに、乳腺腫瘍以外の腫瘍も発生します。
腫瘍によっては手術方法が異なる場合もありますので、
術前の病理診断は非常に重要です。
乳腺腫瘍の最大の特徴が、早期の避妊手術で発生率をほぼゼロにできる点にあります。
また、悪性であったとしても早期手術により完治は十分可能な腫瘍のひとつです。
それでは、実際の治療過程をお話ししたいと思います。
①、診察・全身状態確認
※ 詳しくは、コラムの中の「腫瘍の診断の流れ」をご覧ください。





②、病理検査で腫瘍の種類が確定



細胞検査でおおよその腫瘍の種類を確定し、
局所麻酔を行った上で部分的な切除により組織検査を行い、腫瘍の悪性度を確認します。
③、術前検査・転移の確認


内臓や肺に転移がないかを確認します。
特に肺への細かな転移はCTスキャンが有効です。
転移がないことを確認したら血液検査や心電図検査など、手術のための検査を行います。
④、外科手術



腫瘍の広がり方や悪性度により手術方法を検討した上で手術を行います。
手術方法は簡単にいうと、4~5個の乳腺をすべて取るか、部分的に取るかの2つです。
広がりがひどい場合は2回に分けて右左すべての乳腺を切除します。
犬では術後に術創が開くことがあるため行いませんが、猫では一度に左右とも切除することが可能です。
基本的には同時に避妊手術を行うことで、様々な疾患を予防できます(希望であれば行いません)。
⑤、手術後の病理組織検査



手術により悪性腫瘍が取り切れているかを確認します。
⑥、抗がん剤治療(化学療法)

細かい転移が予想される場合、転移や再発を抑えるために行います。
乳腺腫瘍に効果があるとされる抗がん剤を使用します。
番外編:放射線療法
当院では行えませんが、手術不能な場合の緩和療法として行う場合があります。
頻回の麻酔が必要で、費用も非常に高く、効果が期待できない場合もあります。
番外編:サプリメント
抗腫瘍効果というよりも、全身状態の改善の目的で摂取します。様々なものがあり、効果も製品により不安定です。