■ 前十字靭帯断裂 ■

■ 前十字靭帯断裂

 前十字靭帯断裂とは、膝関節の中にある膝を支える2つの主な靭帯のうち、一つが切れてしまった状態です。
 靭帯が切れてしまうと基本的には足がつけなくなるために手術が必要になります。
 人間でもスポーツ選手や事故などで断裂することがある靭帯です。
 手術をせずにそのままにして時間が経ち「半月板損傷」に至ると、半月板を除去する手術を行わないと痛みがひどく歩けなくなります。
 半月板損傷を起こす前に手術をしてあげることで大掛かりな手術に至るのを防ぐことができます。似たような病気で、前十字靭帯損傷というものがありますが、 完全に断裂するまでは診断が非常に困難です。またよく膝のお皿の病気である膝蓋骨脱臼の異常と誤診されてしまい、誤った手術を行ってしまう事の多い疾患です。
 また、かつては膝蓋骨脱臼が原因で前十字靭帯断裂が起こりやすいといわれていましたが、現在では因果関係は薄いとされています。

■ 検査

 触診・レントゲン・場合により関節エコー検査を行い、靭帯断裂による膝関節のズレや関節液の貯留などを確認します。
 半月板損傷があるかどうかは触診または関節鏡により確認します。関節鏡はとても高価な検査器具であり、当院にはありません。
 完全断裂の診断は簡単で、膝がずれるかどうかをレントゲンで確認することで診断が可能です。関節鏡を使うことで、全十字靭帯損傷を診断することは可能です。

■ 治療

 超小型犬を除き、基本的には外科的な介入が必要になります。
 当院で行う手術は関節包外法といい、左の写真のように非常に太い糸を関節の外側と脛の骨に通して、切断した靭帯の代わりに支えてもらいます。
 まれに十字靭帯損傷の原因が腫瘍という事もありますので、見慣れない組織があった場合は術後の病理組織診断が重要です。 また、損傷の原因としてリウマチや多発性関節炎などの関節で炎症を起こす疾患や副腎皮質機能亢進症などの靭帯が脆弱になる疾患が併発していることがあり、 原因を解決しておかないと反対側の靭帯もいずれ断裂を起こす可能性があります。
 特に関節炎を起こす疾患が併発してた場合は、術後に膝関節の腫れが治まらない場合があり、術後の腫れがなかなか収まらなかったり、すぐに歩きださない場合はその診断がとても重要です。

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