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膝蓋骨は、脛と太ももの筋肉を安定化させるための中継地点です。膝蓋骨脱臼は、現代では膝蓋骨脱臼症候群と呼ばれています。ただ脱臼するだけではなく、膝蓋骨が不安定になることにより、それに伴う様々な障害を発症した状態を指します。脱臼が問題になるというよりも、脱臼によって引き起こされる様々な障害が問題になるので、脱臼=すべて手術というわけではありません。 使用しにくくなった脱臼方向の太ももの筋肉が萎縮してゆき、場合により筋肉の断裂につながります。また症状が継続する場合や骨の変形を伴うような場合は早めの外科的介入が望まれます。 そして小型犬では長い間脱臼状態で安定して歩行するケースが多く、老犬になってからの跛行の原因が膝蓋骨以外(強い炎症、前十字靭帯断裂、股関節の疾患、神経疾患など)にあることが多く、よく誤診されて手術を行われているのも事実です。 ![]() 特に小型犬では大部分の症例で生涯問題がでないどころか、不必要な手術をすることで後遺症が残ることがあります。特に一部の自称整形外科専門病院では利益のために不必要に膝蓋骨脱臼の手術をすすめるケースが多くみられます(しかも片足で50万円程度と手術代も高いです)。 手術の不要な割合 グレード1:51% グレード2:35% グレード3:12% グレード4:1% |
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膝蓋骨脱臼症候群は、脱臼に付随する異常をみつけることが重要です。レントゲンや触診、そして場合によりエコーにて診断を行います。特に中型犬以上では手術適応なケースが多くみられますが、他院で膝蓋骨脱臼と診断されたとしても"跛行の原因がほかにある可能性がある"ために、しっかりとした検査と正しい診断が必要になります(先ほども書きましたが、その場合前強い炎症、前十字靭帯断裂、股関節の疾患、神経疾患などが原因であることが多いです)。![]() |
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手術適応であれば手術を行いますが、特に体重の軽い犬種では症状がある程度で止まり、グルコサミンなどのサプリを併用し手術が不要になるケースが多いです。 3〜4か月など若齢で発見された場合は膝の曲げ伸ばしを行うリハビリにより成長に伴い丈夫な滑車が形成されて膝蓋骨脱臼を防ぐことが可能になるケースがあります。 ![]() 外科的対応を行う場合は、 ・ 膝蓋骨を溝に安定させるための手術 ・ 軸を変える手術 ・ 関節の外から膝を支える手術 ・ 重度であれば矯正のための骨切り手術 を状況により選択して行います。骨切り手術はよほどのことがない限りは不要であるケースが多いです。 ![]() 進行した膝蓋骨脱臼の際に想定される手術後の合併症として、 ・ 膝蓋骨や滑車における軟骨の摩耗による関節症 ・ 膝関節、股関節、踝関節などへの負荷上昇による関節症 ・ 筋や靭帯の拘縮進行による関節可動域の減少や消失 これらは早期の手術介入でだいぶ軽減させることができます。 |